マンガ家さんが見つからなくて、「浩樹さん、自分で描いてみよう!」っていう無茶ぶりが(井上)
中村:徳井さんも声優活動と並行して、マンガとか絵本を手がけたり、最近ではご自身がアバター化したVTuber“徳井V青空”とか多方面で活動されてますけど、はじめられたきっかけはなにかあるんですか?
徳井:そうですね……マンガに関しては、子供のころから描きたいと思っていたので、月刊ブシロードという雑誌が創刊される際に連載ができるっていうチャンスをいただいて、「ぜひ!」とお答えして、そこから連載を。それまでにもちょっとだけ……月に1ページくらいのものを描かせていただいたことはあったんですけど、何ページも雑誌に載ってっていうのは月ブシでの『まけるな!! あくのぐんだん!』が初めてでしたね。
中村:『まけるな!! あくのぐんだん!』と『闘え!コウキくん』。……なんか似てますね、浩樹さん?
井上:ええと、まあ、参考にさせていただいた、部分も……あるかと、思います(汗)。
徳井:ありがとうございます。でもこの、井上さんご自身の顔もちょっと私のマンガ作品の1つ『魔法少女★自宅ちゃん』に近いなって思ったんですけど、それは自意識過剰ですかね?
井上:いや、それも……あるかもしれないですね。参考にさせていただいたかもしれません(汗)。
中村:徳井さんは、どなたかの影響を受けたり、参考にしたりとかっていうのはあったんですか?
徳井:私、4コママンガ大好きで。それこそもう、植田まさし先生の『おとぼけ課長』とか『フリテンくん』とかをずっと読んできたんです。あと吉田戦車さんの『伝染るんです』も。4コマのリズムが好きなので、描くのも4コマがいいなって思って、『まけるな!! あくのぐんだん!』は4コママンガになりました。
中村:ちなみに描くのは手描きですか? デジタル?
徳井:もともと線画はアナログで描いてたんですけど、途中から全部デジタルにしました。
井上:僕は最初からデジタルでした。iPadで描いてます。
中村:浩樹さんがマンガを描こうと思ったきっかけはなんだったんですか?
井上:きっかけですか!? きっかけは……とある方に、「君の人生は面白いから、ちょっとマンガにしてみたらいいんじゃない?」って言われまして。マンガ家さんは探すから、その人に描いてもらおうってことになってたんですけど、マンガ家さんが見つからなくて「どうしよう」ってなったときに、「浩樹さん、自分で描いてみよう!」っていう、ちょっと無茶ぶりがありまして……。
中村:誰ですかそれ、いい加減なヤツですね。
井上:はい。中村航先生っていうんですけど(笑)。
徳井:ええー?
中村:いや、まあ、そうらしいんですけど、実は僕、まじでその辺りのこと、あんまり覚えていないんですよ。
徳井・井上:(笑)。
井上:昔から絵を描くことは好きだったんですけど、まさか描くことになるとは……。初めてなので、ネームとかもわからないし、レイヤーとか言われても「なにを言ってるの?」ていうレベルだったんですけど、最初は。いろいろ調べてデジタルの描き方を勉強して、なんとか描き上げました。
徳井:へえ~、すごいですねえ。でもお上手だと思います。
中村:最初は井上尚弥選手を特集した雑誌の記事として描いたんですよね。それから続けていって、だんだん自分にやりやすいようにして続けていった感じで。徳井さんは、なにか最初のころ苦労したこととかはありましたか?
徳井:そうですねえ。雑誌掲載用に、トーンも貼って……っていうのは描いたことがなかったんで、最初は本当にどういうふうに描いていったらいいのかなってスタッフとも相談してやっていました。編集者さんに、毎回の内容もそうですけど、雑誌に載ったときの読みやすさみたいなことも相談したり。というのも……連載の第1回とか2回のときに、『カードファイト!! ヴァンガード』の伊藤彰先生から、「トーンの向きがおかしいよ」っていうご指摘をいただいて(笑)。そこからトーンの角度に気をつけるようになりました。
井上:豪華な指導者じゃないですか!
中村:浩樹さんの場合、相談しようにも相手が僕だけだったりするので、ググッったりしながら試行錯誤ですね。
徳井:でも、めちゃくちゃクォリティ高いですよね!
井上:いや、でも最初のほうはだいぶ……我ながらひどいなって思いますね、はい。徐々に知識がついてきて、なんとか……。さっき徳井さんがトーンの話をしてくれたんですけど、僕らはトーンの使い方があんまりわからなくて。もちろんトーンというものがあって、クリスタ(CLIP STUDIO PAINT=描画ソフト)にそれを簡単にできる機能があるってこともわかっているけど、「で、どうしたらいいんだ」っていうところがわからなくて。そうしたら中村先生が「もういい。カラーでいくぞ、カラーで」って(笑)。
徳井:え、それでカラーになったんですか?
中村:そうなんですよ。最初の雑誌用の原稿は白黒だったんだけど。
徳井:そうだったんですね。