話題のトピックを紹介する「ナニヨモトレンド」のコーナーです。

 いまとても売れている『地図なぞり』という本をご紹介します(Amazonの全体ランキングでも50位以内まで上がったそうです)。

 タイトルの通り、地図をなぞって楽しむ本です。どういうことかと思われるかもしれませんが、そういうことです。

 三陸海岸や、五島列島、富士山の等高線など、ペンでなぞりたくなる地形がたくさん収録されています。読者は地形をペンでなぞります。だれでも一度は、授業中に地図帳のリアス式海岸をなぞった経験があるのではないでしょうか。

 地図帳でなぞったら落書きですが、『地図なぞり』なら、どれだけなぞっても咎められません。なぞりが目的だからです。逆転の発想(!?)

 ページを開きやくする製本がされていたり、なぞりつつ読めるコメントなど、なぞることを追求した工夫が随所に見られます。

なぞりたくなる

 いま、コロナ禍による外出自粛で、遠くの地形に思いを馳せて地図なぞりをする人が続出しているとのこと。実際にやってみると、とても心が落ち着くことがわかります。この感覚、何かに似ているなと思いました。

 

 一時期大人気となった大人のぬり絵『自律神経を整えるぬり絵』です。細部に意識を集中することで、自律神経が整うというもの。

『地図なぞり』も同じ効果がありそうです。さらに、地理の勉強にもなります。台風の進路や、船の航路などは、どうしてこのような線になったのか考えながらなぞる。地図をなぞらなければ得られない、独特で豊かな時間です。

 各地形についての解説や豆知識もうれしいです。なぞった後にゆっくり読み返すと、よくわからない充実感があります。

『地図なぞり』の著者は、ただただおもしろい記事を毎日公開し続けるWebサイト「デイリーポータルZ」(DPZ)の林雄司さん。DPZの林さんらしい、役に立たなそうに見えておもしろく、知的な体験型の本です。天才的な発想ですね。

 日本以外の、海外の地形(すごいのがありそう)をなぞれる続編も期待してしまいます!

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