2024年も間もなく折り返し、夏が近づいてきました。「今年も記録更新?」という猛暑・酷暑の予測を耳にするだけで早くも心はバテてしまいそうですが、そういうときに涼を求めて手が伸びてしまうのがホラー小説ではありませんか?

暑ければ暑いなりに、読書を楽しみたいと思うそんなあなたに、話題のガイドブックから新刊・近刊の小説情報まで網羅した、ひと足早いホラー特集をお届けします。夏を迎える準備の参考にしてくださいね!

『このミス』編集部が送り出す、新たな夏の風物詩!?『このホラーがすごい!』誕生!

『このホラーがすごい!2024年版』(編:『このミステリーがすごい!』編集部) 宝島社
 発売:2024年06月13日 価格:900円(税込)

1988年から刊行がはじまった、1年間に発売されたミステリー作品をランキング形式で総決算するミステリー小説のガイドブック『このミステリーがすごい!』はみなさんもご存じではないでしょうか。

その『このミス』編集部が新たな小説ガイドを手掛けました。そのテーマは「ホラー」。『このホラーがすごい!2024年版』(宝島社)が、6月13日に発売されます!

2023年に発売されたホラー小説の中から、専門家らが選出した国内編/国外編それぞれのベスト20の発表、またホラー史を語るうえで欠かせない必読作品20選などのホラー小説ガイドとしてはもちろん、綾辻行人氏、三津田信三氏ら作家13名による特別エッセイ、海外ホラーの巨匠であるスティーヴン・キングの作家生活50周年を記念した阿津川辰海氏・斜線堂有紀氏・白石朗氏による鼎談など、本書ならではの読み物企画も充実!

巻頭では雨穴氏・梨氏・背筋氏という昨今のホラーブームを牽引する新鋭3人による特別鼎談も実現し、まさに「ホラー小説の現在」を詰め込んだ1冊となっています。

「新刊インタビュー」プレイバック! 「ナニヨモ」が今年お話を伺ったホラー作家のお三方!

ホラーが似合う季節と言えば、やっぱり夏。とはいえ、ホラー小説はミステリーや恋愛・青春小説と並んで大人気のジャンルなので、1年を通して見逃せない新作が次々刊行されています。

「ナニヨモ」でも注目新刊の情報をその都度ご紹介していますし、「新刊インタビュー」にもご登場いただいています。2024年の上半期には、こちらのみなさんにお話を伺いました。

『歪つ火』(三浦晴海) KADOKAWA
 発売:2024年01月23日 価格:858円(税込)

辛い日常から逃れようとソロキャンプにやってきた友美。テントを張り、ご飯を作り、その場で知り合った人たちとキャンプファイヤーなども楽しんだ。

ところが翌日、なぜかキャンプ場から出られなくなり、さらに昨日知り合った人たちからは「初めまして」と言われてしまう。

友美の困惑をよそに違和感はさらに強まり、やがて恐怖へと変わっていく……という、キャンプ場が舞台のホラー小説です。(三浦)

馴染みのない方ほど、キャンプ場という異界に足を踏み入れる恐怖が高まるかもしれません――『歪つ火』三浦晴海さんインタビュー(2月2日掲載)より

『死人の口入れ屋』(阿泉来堂) ポプラ社
 発売:2024年02月06日 価格:836円(税込)

古物店「阿弥陀堂」は、死者の霊が取り憑いた物品、「忌物(いみもの)」を訪れる客に貸し出しています。店主である阿弥陀は年齢不詳かつ得体の知れない雰囲気の男性で、新人社員の久瀬宗子は彼に振り回されながら、霊を借りていった依頼人たちが、どのような顛末を迎えるのかを見届けます。

短編連作形式で全4話構成なので、気楽に作品世界に入り込んでいただけるかと思います。(阿泉)

「恐怖」を常に意識してしまう、生粋のホラー作家なのかなと思います――『死人の口入れ屋』阿泉来堂さんインタビュー(2月9日掲載)より

『祈願成就』(霜月透子) 新潮社
 発売:2024年05月29日 価格:693円(税込)

大人になった幼馴染みが次々と不幸に見舞われる話です。

凄惨な亡くなり方をした郁美の葬儀をきっかけに、残る四人が再会します。それぞれ平穏な日々を送っていたはずが、郁美の死から連鎖するように四人にも思わぬ災難が降りかかるようになります。思い当たることがあるとすれば、ただひとつ。子供の頃に秘密基地で行ったおまじないの儀式。儀式とはいっても、それは子供の遊びのはずでした。それがなぜこんなことに――。

絶望に満ちたオカルトホラーです。(霜月)

本づくりは思っていた以上にチームでつくり上げていくものだと実感しました――『祈願成就』霜月透子さんインタビュー(5月31日掲載)より

この春注目のホラー小説新刊4作品をご紹介!!

最後は、この春刊行された&刊行予定の新刊ホラー小説をご紹介します。夏を前にして、早くも暑さマシマシとなっている今日このごろ、あなたの背筋を冷やしてくれるのは(?)どの作品でしょうか。

『斬首の森』(澤村伊智) 光文社
 発売:2024年04月24日 価格:1,980円(税込)

鬱蒼と暗い森の中に建つ合宿所。ある団体の“レクチャー”を受け洗脳されかけていたわたしは、火事により脱出する。男女五人で町へ逃げだそうとするが、不可解な森の中で迷ってしまう。翌朝、五人のうちのひとりの切断された頭部が発見される。頭部は、奇怪な装飾を施された古木の根元に、供物のように置かれていて――戦慄のノンストップ・ホラーミステリ!

『悪い月が昇る』(海藤文字) 竹書房
 発売:2024年05月23日 価格:1,969円(税込)

フリーの編集者・正木和也は妻と五歳の息子・蒼太を連れ、ひと夏を都会の喧騒から離れた避暑地の別荘「カブトムシ荘」で過ごす。そこは、知人の精神科医が好意で貸してくれた私荘で、妻子が負った列車事故のトラウマを癒すための滞在であった。時折、失せ物探しや予知など不思議な能力を見せる蒼太。そして、蒼太にしか見えない友達・コウタ。正木は別荘のある村の墓地で詩織という少女に出会い、村に伝わる不気味な奇譚、子を攫う妖鬼〈コトリ〉の伝説を知る。そして始まる村の夏祭り、蒼太が消えた……。脳を攪乱する衝撃の展開、現実が足元から崩れ去る戦慄のホラーミステリ!

『屍者の凱旋 異形コレクションLVII』(監修:井上雅彦) 光文社
 発売:2024年06月11日 価格:1,320円(税込)

光文社文庫より刊行されている、ホラーアンソロジーの人気シリーズ。第57弾となる今回のテーマは「ゾンビ」。ベテラン作家から期待の新鋭まで15名の日本を代表する短編巧者が描く「ゾンビ小説」が大集結! いまだかつてないゾンビたちの凶宴に乞うご期待!

【収録作家(五十音順):井上雅彦/上田早夕里/空木春宵/織守きょうや/黒木あるじ/最東対地/澤村伊智/篠たまき/斜線堂有紀/背筋/久永実木彦/平山夢明/牧野修/三津田信三/芦花公園】

『モノノ怪 鬼』(仁木英之) KADOKAWA
 発売:2024年06月13日 価格:770円(税込)

2007年に連続TVアニメとして人気を博し、本年7月に劇場版アニメ『劇場版モノノ怪 唐傘』の公開も予定されているホラーアニメのスピンオフ小説第2弾。戦乱の時代。常人離れした体躯と武勇を持ち、あまりの強さから「鬼御前」と異名をとってはいるが、実際は心優しき乙女の小梅。その小梅と山で恋に落ちたのが、玖珠郡帆足郷の若君である帆足鑑直。互いの父親はかつては手を組んでいた当主同志なのだが、訳合ってお互いをけん制しあっている。やがて小梅は鑑直と結婚するが、島津軍が攻めてくる。「鬼道」と自ら呼ぶ妖の術を操る僧は人々を惑わし妖怪たちが跋扈し始めたその時――薬売りが現れ、モノノ怪を斬る!

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