『小説家の一日』(井上荒野) 文藝春秋
 発売:2022年10月13日 価格:1,980円(税込)

あんたは絶対、小説を書けるはずだ。小説家の夫にそう言われて、私は書き始めた。原稿用紙の上に浮かび上がるのは私であって私ではなく、知っていることだけ書いているつもりが、いつの間にか思ってもいないことを書いている。そうしてひとたび書かれてしまうと、それは間違いなく私が思っていたことになる……(「好好軒の犬」より)。「書くこと」をテーマに、さまざまな日常の忘れられない瞬間を描いた珠玉の10編を収録した短編集。

【著者プロフィール】

1961年、東京都生まれ。1989年、「わたしのヌレエフ」で「第1回フェミナ賞」を受賞し、1991年に短編集『グラジオラスの耳』を発表するが、体調不良により活動を中断。2001年に『もう切るわ』で活動再開後、2004年に『潤一』で「第11回島清恋愛文学賞」を受賞し、2008年には『切羽へ』で「第139回直木賞」を受賞。その後も2011年『そこへ行くな』で「第6回中央公論文芸賞」、2016年に『赤へ』で「第29回柴田錬三郎賞」、2018年に『その話は今日はやめておきましょう』で「第35回織田作之助賞」を受賞している。自身の父である小説家・井上光晴と瀬戸内寂聴氏の不倫関係を描いた『あちらにいる鬼』が映画化され本年11月に公開予定。近著に『生皮 あるセクシャルハラスメントの光景』『百合中毒』『ママナラナイ』などがある。

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