『武漢病毒襲来』(廖亦武) 文藝春秋
 発売:2021年08月06日 価格:2,035円(税込)

いまだ収束の兆しを見せない新型コロナウィルスのパンデミック。その始まりの地とされ、世界で最初にロックダウンが行われた中国・湖北省武漢市を目指す男。すべての交通手段は遮断され、ひとたび感染を疑われれば強制隔離が待つ。それでも彼は、妻子の待つ武漢へとただひとりの決死行をつづける。同じころ、武漢ウイルス研究所を取材しようとした若きネットジャーナリストはライブ配信の最中に官憲に踏み込まれ、「失踪」する――。度重なる迫害を受け、ドイツへの亡命を余儀なくされた中国人作家が描く、「あのとき、武漢でなにが起こっていたのか」。

【著者プロフィール】

1958年、中国・四川省出身。1982年に詩人としてデビュー。1989年に天安門事件を批判する作品の発表により、翌年投獄される。4年後に出獄すると、大道芸人として活動しながら国内の最低層への聞き書きを行う。2001年に『中国低層訪談録』を中国国内で出版するが、すぐに発禁処分を受けた。1995年と2003年の2度、米国のNGOヒューマン・ライツ・ウォッチにより政治的迫害下の作家に与えられる「ヘルマン・ハメット賞」を受賞。2011年にドイツに亡命を果たす。2012年「ドイツ出版協会平和賞」受賞。邦訳として『中国低層訪談録―インタビューどん底の世界』『銃弾とアヘン:「六四天安門」生と死の記憶 』がある。

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