『雷神』(道尾秀介) 新潮社
 発売:2021年05月26日 価格:1,870円(税込)
「小説ならでは」の魅力を追求し続ける道尾秀介から届いた会心の一撃‼

「今回は物語の後半に、ある一枚の画像が登場します。その画像は、密かにある真実を読者の前に提示します。この仕掛けは、物語自体が文章でつくられているからこそ成り立つものです。小説は、こうしていろいろなものを内部に取り入れることができるので、やはり最強のエンターテインメントだと思っています」

発売されたばかりの最新作『雷神』についてそう語るのは、ミステリ作家の道尾秀介。常々、「小説でしか味わえない魅力」「新しい読書体験」を追求してきた道尾氏が「昔の自分には絶対不可能だった」と言い切り、「これから先、僕が書く作品たちにとって、強大なライバルにもなりました」とまで語る自信の一作になっている。

「この世には人間が絶対に結果を計算しきれないものが無数にあり、それらが複雑に絡み合って世界を形成しているという思いがあります。それを『偶然』と呼ぶのか、『運命』と呼ぶのか、『奇跡』と呼ぶのか、人それぞれかと思いますが、僕はその現象を、何か形として目に見えるものに託したくて、誰もが一度は像を見たことがある三体の神様に託しました」

2000年に発表された『龍神の雨』、2018年の『風神の手』に続き「神」の名をつけた道尾氏の強い想いからも、それがよくわかるのえはないだろうか。

「僕が理想とするミステリのかたちがいくつかあるのですが、そのうちの一つが書けました」

道尾ミステリのひとつの究極形をぜひ堪能してみよう!

【あらすじ】

埼玉で小料理屋を営む藤原幸人のもとにかかってきた一本の脅迫電話。それが惨劇の始まりだった。
昭和の終わり、藤原家に降りかかった「母の不審死」と「毒殺事件」。真相を解き明かすべく、幸人は姉の亜沙実らとともに、30年の時を経て、因習残る故郷へと潜入調査を試みる。すべては、19歳の一人娘・夕実を守るために……。
なぜ、母は死んだのか。父は本当に「罪」を犯したのか。村の伝統祭〈神鳴講〉が行われたあの日、事件の発端となった一筋の雷撃。後に世間を震撼させる一通の手紙。父が生涯隠し続けた一枚の写真。そして、現代で繰り広げられる新たな悲劇――。
ささいな善意と隠された悪意。決して交わるはずのなかった運命が交錯するとき、怒涛のクライマックスが訪れる。

※本稿は、下記のプレスリリースを参考に作成いたしました。
ミステリの神業を見よ。著者会心の一撃は、“小説ならではの企み”を追求した圧巻の集大成!! 道尾秀介『雷神』本日発売!|株式会社新潮社のプレスリリース

【著者プロフィール】

1975年東京都出身。2004年『背の眼』でホラーサスペンス大賞特別賞を受賞し、デビュー。07年『シャドウ』で本格ミステリ大賞、09年『カラスの親指』で日本推理作家協会賞を受賞。10年『龍神の雨』で大藪春彦賞、『光媒の花』で山本周五郎賞を受賞する。11年『月と蟹』で直木賞を受賞。ほかに、『向日葵の咲かない夏』(新潮文庫版)はミリオンセラーに。近著に『貘の檻』『満月の泥枕』『風神の手』『スケルトン・キー』『いけない』『カエルの小指』などの作品がある。

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