最近読んだビジネス書を紹介するコーナー。今回は『生命科学的思考』。
著者は、生命化学の研究者であり、遺伝子解析の研究をするベンチャー起業家・経営者でもある高橋祥子さん。研究者と経営者という両方の視点から、生命科学的に合理的な行動のスタイルを提案されています。
著者が説明する「生命の原理や原則」を客観的に理解し、どうしてもそのようになるという原理に抗うために、「主観的な意志」を活かして行動することで、自然の理に立脚しながらも希望に満ちた自由な生き方が可能となるというのがコンセプトです。
目次は次の通り。
第1章:生命に共通する原則とは何か ー客観的に捉えるー
第2章:生命原則に抗い、自由に生きる ー主観を活かすー
第3章:一度きりの人生をどう生きるか ー個人への応用ー
第4章:予測不能な未来へ向け組織を存続させるには ー経営・ビジネスへの応用ー
第5章:生命としての人類はどう未来を生きるのか
最初に原則を押さえ、それに抗い自由に生きるためのコツを教えてくれます。そして、その応用として、個人の人生、組織の運営と範囲を広げていきます。
情熱を燃やすには!?
示唆に富む内容がたくさんありますが、特にこれはと思ったのは、「未来差分」という視点です。行動をして手に入れることができる理想的な未来と、何も行動をせずにいた場合の未来、その二つの差分が「未来差分」です。この差分を意識するだけで、日常の行動が変わってくるというもの。
また、主観の大切さ。生命の原則で自動的にあらゆることが決まっていくような中において、問題の設定には主観が欠かせないというところです。
「情熱」とは、前述の「未来差分」と、そこへ至るための行動の「初速」。その掛け算が情熱の源泉になるというのが著者の意見です。
いわゆる「意識高い系」と呼ばれる人は、未来差分は描けても行動をする初速がないというもの。反対に行動の初速があっても、未来が描けていないと、いずれ情熱が消えていきます。情熱がないな、と感じている人がいたら、上記のどちらかのケースになっているはず。
未来差分を認識するためには、情熱のある人のそばに行って未来差分を認識するようにしたり、思い切って、行動をして初速を出してみるという提案がされています。
他にも下記のような人におすすめ
- 怒りや悲しみなどネガティブな感情に流されたくない
- 意志を強く持ち続けたい
- 組織作りやビジネスに生命科学の知見を応用したい
- チームや人間関係のことで悩んでいる
- 何かに打ち込むための情熱がほしい
なんだか、最近情熱が湧かないという人に特にオススメします。