『最愛の』(上田岳弘) 集英社
 発売:2023年09月05日 価格:2,310円(税込)

「約束して。私のことは跡形もなく忘れる、と」――30代の久島は、情報も欲望もそつなく処理する「血も涙もない的確な現代人」として日常を生きている。だが、学生時代に手紙を交わしつづけた望未だけが、人生唯一の愛として、いまだ心を離れない。望未は手紙の始まりで必ず「最愛の」と呼びかけながらも、常に「私のことは忘れて」と願い、何度も久島の前から姿を消そうとした。今その願いを叶えるべく、久島は自分のためだけの文章を書き始める。

【著者プロフィール】

1979年、兵庫県生まれ。2013年「太陽」で「第45回新潮新人賞」を受賞しデビュー。翌2014年には受賞作を収録した『太陽・惑星』を刊行。2015年『私の恋人』で「第28回三島由紀夫賞」、2018年『塔と重力』で「第68回芸術選奨文部科学大臣新人賞」をそれぞれ受賞。2019年、「ニムロッド」で「第160回芥川賞」を受賞した。2022年には「旅のない」で「第46回川端康成文学賞」を受賞している。その他の著書に『異郷の友人』『キュー』『引力の欠落』などがある。

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