『道化むさぼる揚羽の夢の』(金子薫) 新潮社
 発売:2021年07月29日 価格:1,980円(税込)

「機械工」として召集された天野正一は、広大な地下工場で蛹の形の拘束具に閉じ込められていた。微睡の中でいつしか羽化を夢見る正一。異様な労働、模造の蝶、監督官による殴打、地中の街。理不尽な状況から逃れるため、命懸けで道化を演じるが――。不条理な世界で人間に本当に必要なものは何か。そこで人はどう生き延びるのか。コロナ禍の現実とも響き合う、新鋭が描くディストピア。

【著者プロフィール】

1990年、神奈川県生まれ。慶應大学大学院文学研究科仏文学専攻に在籍中の2014年に『アルタッドに捧ぐ』で「第51回文藝賞」を受賞しデビュー。2018年には「第11回[池田晶子記念]わたくし、つまり Nobody賞」受賞、また前年発表の『双子は驢馬に跨がって』で「第40回野間文芸新人賞」も受賞。その他の著書に『鳥打ちも夜更けには』『壺中に天あり獣あり』。

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