マンガ配信サービス「ステキコミック」から生まれたピクチャーノベル・レーベル「STORYTOON」。文章による物語表現とマンガのような読みやすさを両立させたこの新感覚のピクチャーノベルは、世界観や情景をイメージしやすいフルカラーイラストや、ページ送りなく1話分を一気に読める縦スクロールの画面構成から、次の展開が徐々に見えてくるワクワク感や、作品への没入感がたまらないと大好評です!
続々生まれるSTORYTOON作品の中から、今回ご紹介するのは『幽霊と、遠い未来の話』。小説担当のナカハラ忠彦さんが小説投稿サイト「ステキブンゲイ」で公開中の作品から、外伝のような形で生まれた作品です。さっそくナカハラさんにお話を伺ってみました。
私の母校の中学で女子生徒の幽霊が出るという噂(怪談)があり、それが元になっています
――まず最初に、この『幽霊と、遠い未来の話』がどのような作品か、内容をお教えいただけますでしょうか。
幽霊が出る話です。が、ホラーではありません。
主人公の一水花蓮が幼馴染みで交際中の剣持天馬にフラれ、コンビニでお酒を購入してやけ酒。フラつく足取りで帰宅していると、母校の平戸中学校の屋上に立つ少女・サラを発見。花蓮が慌てて声をかけると、サラは躊躇なく屋上から飛び降りました。サラの体中の骨は折れ曲がり、地面には大量の血と体液が飛び散っ……あれ?
すみません、サラが飛び降りた以降は嘘です。続きはSTORYTOONにてお読み下さい!
――この作品はナカハラさんが小説投稿サイト「ステキブンゲイ」で公開中の『セカンド/フェアウェル』と共通する世界観で描かれた作品だと思いますが、その点も含めて、この作品のアイデアはどのようなきっかけで生まれたのでしょうか。
『シティーハンター』で有名な北条司先生の『こもれ陽の下で…』という作品が大好きで、その読後感を目指して『セカンド/フェアウェル』を創作しました。『こもれ陽の下で…』は主人公の男子小学生と、植物の心を読める能力を持っている、小学生のまま成長できないヒロインとの成長譚になります。『セカンド/フェアウェル』も三人の主人公と中学生のまま成長できないヒロインとの物語になります。
『幽霊と、遠い未来の話』は同作の一編として考えていたのですが、他のストーリーより短かったのでカットしました。でも、STORYTOONならちょうど良い長さだと思い、蘇らせた次第です。サラを幽霊という設定にしたのは、私の母校の中学で女子生徒の幽霊が出るという噂(怪談)があり、それが元になっています。今もいるのかなぁ……。
――本作は、新たなフォーマットのピクチャーノベル「STORYTOON」として発表されたわけですが、作品化の依頼があったときのお気持ちをお教えください。また実際に出来上がった作品をご覧になった感想はいかがでしたでしょうか。
最初にお声がけ頂いた時は、単純に面白そうだなと思いました。
完成品はライトノベルに近い感じになると想像していたのですが、いざ読んでみるとライトノベルより没入感が強く、めちゃくちゃ気に入りました!
また、全ての作品に共通しているのですが、話数が長くないので、気軽に読める所も良いと思いました。
――イラストご担当の、ゆいあいさんとの制作作業はいかがでしたか。
一言で言うと、最高でした。各話ごとにイラストを送って頂いたのですが、毎回、想像の斜め上どころか真上を余裕で越えるレベルだったので、編集者さんに「ステキです」「最高です」しか言ってなかった記憶があります。
今思うと、ゆいあいさんに頼り切りだったと反省していますが、また組めたとしても「ステキです」「最高です」しか言わないと思います。だって仕方ないじゃないですか、最高なんだもん。
――作家の立場から感じた、STORYTOONというフォーマットの魅力や面白みはどんなところでしょうか。
3つめの回答と重なるんですが、やっぱり「没入感」が大きいと思います
文章だけだと、どうしても読者の想像力に頼ることになります。上手くハマれば最高の読書体験ができますが、物語自体は面白いのに、絵が浮かんでこない時もあります。でも、文章の世界観とマッチしたイラストがあると簡単に、それでいて一気に小説の世界に入り込むことができます。
そういう体験ができるフォーマットはあるようで無いので、一人でも多くの方に触れて頂きたいです。
創作活動をしている以上、本という形で作品を世に残したいです
――創作活動についてお伺いします。小説の執筆をはじめたのはいつ頃、どのようなきっかけだったのでしょうか?
小学二年生の時に、那須正幹先生の「ズッコケ三人組」シリーズを読んで、「こういう面白い作品を書いてお金が欲しい!」と思ったのがキッカケです。ただ、文章力と根気が追いつかず、まともな作品を書けずにいました
本格的に目指したのは、33歳の時に中学時代の友人が死に、人生について本気で考えてからです。結果、当時勤めていた会社を退職して、本格的に小説や脚本、マンガ原作などを書き始めました。
――創作活動での今後の目標はありますでしょうか?
STORYTOONというプラットフォームで自作を発表できたことは大変嬉しかったのですが、創作活動をしている以上、本という形で作品を世に残したいです。死ぬまでに、一冊でも良いので。それが今の目標です。
――最後に読者に向けて、メッセージをいただけますでしょうか。
『幽霊と、遠い未来の話』は、ゆいあいさんのイラストや素晴らしい編集のお陰で、ステキな作品になりました。
特にイラストに関しては友人・知人から絶賛の嵐で「イラストが良かった」「イラストが最高過ぎる」という言葉を沢山頂きました。「イラストが良かった」「イラストが最高過ぎ……大事なことなので二度言いかけました。
とにかく、関わってくれた皆様のお陰で、自分が言うのも何ですが、百点以上の作品になったと自信を持って言えます。ぜひぜひお読み下さい!
フラれた。付き合ってから、たったの半年で――。恋人に振られやけ酒を煽っていた一水花蓮は、母校の屋上で今にも飛び降りようとしている少女を見つける。危ない――! そう思った刹那、予期せぬことが起こった。
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著者プロフィール
ナカハラ忠彦(ナカハラ・タダヒコ)
1982年1月26日生まれ。岡山生まれ横浜育ち。本名は中原忠彦。両親いわく「将来、社長になれる画数だ」とのことだったが、社長になれそうにないので苗字をカタカナにしてみる。33歳から本格的に創作活動をはじめ、小説・脚本・マンガ原作の賞に応募を開始。計5回、最終選考(受賞の一歩手前)に残るも、全て選外になるというアクロバティックな結果を残している。現在大病を患い、死にそうになりながら創作活動を続けている。