今年も1年間「ナニヨモ」をご愛読いただきありがとうございました!
2024年最後はいつもと趣向を変えてコミック作品をご紹介します。といっても今回の3作品は、話題を集めた小説を原作とするコミカライズ作品なんです。
コミカライズといえば、ライトノベルやファンタジー小説が原作という印象も強いですが、今回ご紹介するのは一般文芸作品のコミカライズです。もしあなたが小説で楽しんだ作品であれば、それがコミックでどのように表現されているのか、原作未読であれば一気に読み比べでもOK。年末年始の読書ラインナップに加えてみてはいかがでしょうか。
『成瀬は天下を取りにいく』
小説◉宮島未奈・著 新潮社 2023年3月17日発売 1,705円(税込)
コミック◉さかなこうじ・著 宮島未奈・原作 新潮社 2024年12月9日発売 792円(税込)
滋賀県大津市に生まれ育った成瀬あかり。200歳まで生きることが夢で、文武両道で器用だけれど破天荒かつ猪突猛進な成瀬と、彼女が行動を起こすたびに巻き込まれる幼馴染の島崎を描いた青春ストーリーです。常に全力で我が道を突き進む成瀬というヒロイン像が大きな反響を巻き起こし、2023年に「第39回坪田譲治文学賞」、2024年に「本屋大賞」にも輝きました。2024年にはシリーズ続編となる『成瀬は信じた道をいく』も刊行されています。
『同志少女よ、敵を撃て』
小説◉逢坂冬馬・著 早川書房 2021年11月17日発売 2,090円(税込)
コミック◉鎌谷悠希・著 逢坂冬馬・原作 速水螺旋人・監修 早川書房 2024年12月11日 880円(税込)
1942年、独ソ戦のさなか、モスクワ近郊の村でドイツ軍の襲撃によって母を殺されたセラフィマが、復讐を誓い、狩りの腕を活かし女性狙撃小隊の一員となった彼女の姿を描いた、著者デビュー作にして直木賞へのノミネートも話題となった作品です。2022年には「本屋大賞」及び「第9回高校生直木賞」を受賞しました。コミックス第1巻と同時にハヤカワ文庫版(税込1,210円)も刊行されました。
『あいにくあんたのためじゃない』
小説◉柚木麻子・著 新潮社 2024年3月21日発売 1,760円(税込)
コミック◉もりとおる・著 柚木麻子・原作 新潮社 既刊2巻、第3巻は2025年1月8日発売 792円(税込)※コミックスは電子書籍でのお取り扱いです
過去のブログ記事が炎上中のラーメン評論家、夢を語るだけで行動には移せないフリーター、もどり悪阻とコロナ禍で孤独に苦しむ妊婦、番組の降板がささやかれている落ち目の元アイドル……いまは手詰まりに思えても、自分を取り戻した先につながる道はきっとある。著者自身の体験や、身の回りで起きた出来事を元に描かれた、この世を生き抜く勇気が湧いてくる短編集です。本作で著者6度目の直木賞ノミネートとなりました。小説刊行に先駆けて始まったコミック連載も本年11月で終了。最終巻が2025年1月に刊行予定です。