時代を映す旬なテーマで、魅力的な作品を次々発表されている浜口倫太郎さん。最新作では、eスポーツをテーマに青春部活ものの小説を書かれました。

 eスポーツを描こうとされたきっかけや、本書の読みどころ、また、創作についてお話をお聞きしました。

書影

運動が苦手でも感情移入できるスポーツもの!

『ゲーム部はじめました。』あらすじ

 春の季節は大嫌い。青春はいつも他人のもの。スポーツ強豪校の星海学園の高校一年生、七瀬遊は身体が弱く運動ができない。

 運動部のマネジャーにも気が進まない中、不思議なイラストが描かれた「ゲーム部」の勧誘チラシを発見する。部員5人を1ヵ月以内に集めなければ部の設立は不可?!

 ゲーム甲子園で優勝しなければ廃部?! 苦難を仲間と乗り越えられたなら、それは青春だ。

 本作で「eスポーツ」をテーマに、ゲーム部を舞台にした物語を書かれたきっかけを教えてください。

 元々スポーツものの作品が好きなんですが、僕みたいに運動がからっきしな人間からすると、どうしても主人公に完全には感情移入ができないんです。どれだけ才能がなかったり短所はあったりしても、結局スポーツはできてるじゃないかって穿った目線で見てしまうんです。

 もし自分がスポーツものを書くのならば、主人公は病気や怪我でスポーツするのを医者に止められたりなど、スポーツすること自体が不可能な人間でないとダメだなと。

 そういう主人公でスポーツものが書けないかなと思ったとき、ゲームが題材ならばそれができるなと閃きました。eスポーツですね。僕自身がゲームが好きですし、今eスポーツの世界が徐々に盛り上がりつつあるのも知っていました。プロゲーマーが子供の憧れの職業になったりしていますし。

 それでプロゲーマー主人公の話を書こうと思って担当編集者にその話をさせてもらうと、「高校生主人公の青春部活ものにしませんか」と提案されたんです。

 今少年漫画でも、王道のど直球のストーリーだけで魅せるのって中々難しいんですが、唯一青春部活ものは大丈夫なジャンルなんです。確かに青春部活ものの方が僕が書きたいものが表現できるなと思い、高校生がゲーム部を作る話にしました。

eスポーツ の取材に注力。作中のゲームに苦心

 執筆にあたって、苦労したところをお聞かせください。

 執筆に関してはかなり取材をさせてもらいました。プロゲーマー、プロゲーマーのチームを経営する方、eスポーツの専門家、eスポーツの実況者、超有名なゲームメーカーのゲームデザイナーの方にも話を聞かせてもらいました。

 でももっとも苦労したのが、主人公達が作中でプレイするゲームをどういうゲームにするか考えることでした。

 最初は実際のゲームとして面白いものにしようと知恵を振り絞って、ゲームバランスとかも考慮に入れていました。もうゲームメーカーの社員になって、本当のゲームを作るイメージで。

 でもいざ小説として書いてみると面白くなかったんです。それで一から全部考え直して、ストーリー展開が面白くなるようなゲームにしようと逆算しながらゲームの中身を作り変えました。

 それが一番大変でした。今までの作品でもっとも時間もカロリーも使っていますね。

 今回の作品の読みどころをお聞かせください。

 これまで一冊で完結する作品ばかりを書いていたんですが、ゲーム部はじめましたに関してはシリーズでもいけるイメージで書きました。

 そのためには魅力的なキャラクターが必要になります。特に王道ど直球のストーリー運びなので、キャラクターが弱いと誰も読んでくれません。

 だからキャラに関しては僕の過去作品の中で一番魅力的にしようと考えました。主人公の七瀬遊はもちろんですが、ヒロインの花見くるみは本当にいいキャラにできたと思います。

 読者の方にはキャラに注目して読んで欲しいです。

液体を流させるイメージで書くこと

 小説を書くうえで、大切にされていること教えてください。

 小説を書く上で大切にしていることは、とにかく面白いものです。

 貴重な時間とお金を使って読んでもらっている限りは、読者の方に読んで損をしたとがっかりするようなものは絶対に書きたくないです。面白かった、感動したと心に残るものを書こうと常に考えています。

 あと以前編集者に、『読者の方に液体を流させるイメージで書いてください』と言われたことがあります。

 感動ものならば涙、笑えるものでも涙を流しますよね。ハラハラドキドキするミステリーやサスペンスならば手に汗をかきますし、ホラーならばもうおもらしするくらい怖いもの。この液体を流させるイメージで毎回書こうと心がけています。

最後に読者に向けて、メッセージをお願いします!

 青春部活もの、スポーツもの、ゲームに興味がない方でも楽しんで読んでもらえる作品です。

 面白さは保証します。太鼓判千回押してもいいです。ぜひ騙されたと思って読んでみてください。

 いま注目を集めているeスポーツを、青春部活ものとして描いた本作。魅力的な登場人物たちとストーリー展開によって、eスポーツの奥深さ、おもしろさが、ひしひしと伝わってきます。

 eスポーツという言葉を聞いたことがあっても、具体的にどういうことなのかわかっていない人も、本書を読めば、その世界に引き込まれます。

 作中でプレイされるゲームはプレイしてみたくなりました(架空のゲームですが、ものすごくおもしろそう)。おすすめです!

Q:最近、嬉しかったこと、と言えばなんでしょうか?

 最近嬉しかったことは、任天堂のゲーム『スプラトゥーン3』が来年出ると発表されたことですね。スプラ大好きなんです。

Q:ご自身は、どんな小説家だと思われますか?

 オールマイティーな作家かなと。いろんなジャンルが書けると思います。

Q:おすすめの本を教えてください!

 好きな本、影響を受けた本は、

1『73光年の妖怪』 フレドリックブラウン

2『銀河英雄伝説』 田中芳樹

3『魔界転生』 山田風太郎


浜口倫太郎さん最新作『ゲーム部はじめました。』

『ゲーム部はじめました。』(浜口倫太郎) 講談社
 発売:2021年10月15日 価格:847円(税込)

著者プロフィール

浜口倫太郎(はまぐち りんたろう)

 放送作家を経て、『アゲイン』で第5回ポプラ社小説大賞特別賞を受賞しデビュー。
 著書『シンマイ!』『廃校先生』『22年目の告白ー私が殺人犯です』『AI崩壊』『ワラグル』など多数。

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