『現代生活独習ノート』(津村記久子) 講談社
 発売:2021年11月19日 価格:1,815円(税込)

偶然録画していた興味のない番組。冷蔵庫内の陣地争い。貧弱な食事ばかりのSNS画面。資料室の籠城騒動。怒り、あきらめ、情けないこと、ときどきは幸せなこと。“通り過ぎていくものたちのどれかは、手になじんで輝いてくれるだろう”――。キラキラはしていなくても、冴えない日常は、案外愛しく、悪くない。平凡すぎる日々を過ごしながら、それでも明日に、未来にささやかな期待を持ち続ける気持ちを描いた短編集。「レコーダー定置網漁」「台所の停戦」「現代生活手帖」「牢名主」「粗食インスタグラム」ほか8編を収録。

【著者プロフィール】

1978年、大阪市生まれ。2005年「マンイーター」で「第21回太宰治賞」を受賞、『君は永遠にそいつらより若い』と改題のうえデビュー。2008年『ミュージック・ブレス・ユー!!』で「第30回野間文芸新人賞」、2009年『ポトスライムの舟』で「第140回芥川賞」、2011年『ワーカーズ・ダイジェスト』で「第28回織田作之助賞」、2013年「給水塔と亀」で「第39回川端康成文学賞」、2016年『この世にたやすい仕事はない』で「芸術選奨新人賞」、2017年『浮遊霊ブラジル』(「給水塔と亀」収録)で「第27回紫式部文学賞」、2019年『ディス・イズ・ザ・デイ』で「第6回サッカー本大賞」を受賞。2020年には翻訳された「給水塔と亀(The Water Tower and the Turtle)」(ポリー・バートン訳)が「PEN/ロバート・J・ダウ新人作家短編小説賞」を受賞している。近著に『つまらない住宅地のすべての家』『サキの忘れ物』など。

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