『万事快調〈オール・グリーンズ〉』(波木銅) 文藝春秋
 発売:2021年07月05日 価格:1,540円(税込)

社会派推理小説は言うに及ばず、日本の文芸エンタテインメントを代表する大作家として、いまなお読み継がれ、語り継がれる松本清張。氏の業績を称え1993年に創設され、優れた長編エンタテインメント小説とその作家のひとつの登龍門となっている公募文芸賞「松本清張賞」が今年も4月に発表され、その受賞作品がいよいよ7月5日に文藝春秋より刊行される。
第28回を数える同賞で、今回応募総数748篇の中から選ばれた受賞作は『万事快調〈オール・グリーンズ〉』。受賞者である波木銅さんは、なんと都内の大学の4年に在籍する現役の大学生。京極夏彦氏、辻村深月氏ら、選考委員を務めた日本の文学界の最前線を走る5人の作家が満場一致で授賞を決めた、若く新しい才能の出現だ!!

【作品紹介】

このクソ田舎とおさらばするには金! とにかく金がいる! だったら大麻、育てちゃえ(学校の屋上で)。
茨城のどん詰まり。クソ田舎の底辺工業高校には噂があるーー。表向きは園芸同好会だが、その実態は犯罪クラブ。メンバーは3人の女子高生。彼女たちが育てるのは、植物は植物でも大麻(マリファナ)だった!
ユーモラスでオフ・ビートな文体が癖になる、中毒性120%のキケンな新時代小説。

【選考委員コメント】(50音順)

先を見通しているのか、後ろが見えていないのか。でも、少なくとも作者には今がはっきり見えている。何者なのか見極めたい。――京極夏彦

読みながら、そのセンスの良さに何度も唸り、選考委員としてこの作家のデビューに立ち会いたいと思った。――辻村深月

おもしろかった。「万事休す」の状況なのに、この愉快さ。作者には天性の資質が感じられた。この賞が人生を狂わせないことを切に願う。――中島京子

頭ひとつ抜きん出ていた。登場人物たちの過剰な自意識に何度も笑わせてもらった。皮肉とユーモアのセンスがずば抜けていて、これは努力では身につかないものだ。――東山彰良

正直、粗の多い作品だとは思う。巧いとは一度も感じなかった。が、際立って面白かったのは事実。――森絵都

応募のきっかけは大学の講義!? 著者・波木銅さんの受賞に学校側も鼻が高い!!

前述したように波木さんは現役大学生。東京都豊島区にある大正大学の表現学部表現文化学科で学ぶ4年生です。
この表現学部は、表現者たちから創作の極意を学ぶ学部。文章を書く、編集する、映像を撮る、演じるなど、さまざまな表現技術を修得していくと同時に、表現者をマネジメントする側の役割についても学んでいくそうです。波木さんが「学部3年生の時に額賀澪先生(客員教員)の講義を受けて松本清張賞を意識した」と語るように、各種クリエイティブシーンで活躍するプロフェッショナルたちを指導者として迎えている学部なのだそうです。
波木さんは、まさにその学部の理念を体現した生徒と言ってもいいでしょう。

【著者コメント】

執筆活動は高校生の時から始めました。純文学が多かったのですが、今回、エンタメ分野で手応えを感じたので、エンタメ分野で攻めてみたいと思います。映画も好きで、映像制作に興味があり入学した学部の授業や経験が、本作品に活きていると思います。今思うと、本作品は賞をとれる手応えはあったと思います。いま、2作目の構想中です。今後、誰も見たことのないような作品を作りたいと思っています。

攻めの姿勢とそれを支える若さを武器にデビューする波木銅さんに要注目です。

【著者プロフィール】

1999年、茨城県生まれ。大正大学表現学部表現文化学科4年在学中。2021年に「第28回松本清張賞」を受賞し、受賞作『万事快調〈オール・グリーンズ〉』でデビュー。

※本稿は、下記のプレスリリースを参考に作成いたしました。
『万事快調〈オール・グリーンズ〉』波木銅 | 単行本 - 文藝春秋BOOKS 
第28回松本清張賞は本学学生 波木銅さんに決定!!|学校法人 大正大学のプレスリリース 

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