『かさなりあう人へ』(白石一文) 祥伝社
 発売:2023年10月12日 価格:1,980円(税込)

「あなたのせいで万引きと間違えられてるの。あなたが三日も帰ってこないから」――スーパーの人気商品を盗んだ野々宮志乃は、万引きGメンから声をかけられる。咄嗟に志乃は、店の駐輪場にいた箱根勇に、「あなた」と夫のごとく呼びかけた。勇は反射的に夫婦を装い、志乃を助けて……。夫に先立たれた四十代販売員の志乃と、不倫が原因で離婚した五十代会社員の勇。親しげな言葉を交わすようになったふたりは、断ち切れぬ絆を感じる。傷を抱えた大人たちが辿り着いた場所とは――。折り重なる出会いの神秘を問う白石恋愛文学の到達点。

【著者プロフィール】

1958年、福岡県生まれ。1994年に滝口明名義で『第二の世界』を上梓した後、2000年に現筆名で『一瞬の光』を発表。2009年『この胸に深々と突き刺さる矢を抜け』で「第22回山本周五郎賞」を受賞。2010年『ほかならぬ人へ』で「第142回直木賞」を受賞した。その他の著書に『僕のなかの壊れていない部分』『私という運命について』『永遠のとなり』『火口のふたり』『君がいないと小説は書けない』『ファウンテンブルーの魔人たち』『我が産声を聞きに』、近著に『投身』『松雪先生は空を飛んだ』『道』などがある。

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