伊波真人が、毎回ゲストをお迎えして、聞いてみたいことを聞いてみる、この企画。

第3回のゲストは、前回のゲストである額賀澪さんのご推薦で、額賀さんと伊波の共通の知り合いでもある、メフィスト賞を受賞された『キョウカンカク』や、『希望が死んだ夜に』などのミステリー小説の作者である、小説家の天祢涼さんです。

天祢涼さん

伊波:天祢さんとはじめてお会いしたのは、三省堂で行われた青南さん(前々回のゲストの佐藤青南さん)と額賀さん(前回のゲストの額賀澪さん)のトークイベントでしたね。

天祢涼(以下、天祢):3年前の3月ですね。

伊波:イベントの後の打ち上げで、天祢さんと席が近くて、お話しさせていただいたのでした。

天祢さんが小説を書きはじめたきっかけ

伊波:天祢さんは、どういうきっかけで小説を書きはじめたのですか?

天祢:きっかけはですね……子どもの頃にミステリーを読んで面白いなと思って、自分でも書きたいなと思ったのが、最初ですかね。それで、中学校のときに、「空上殺人事件」という、しょうもないのを自由研究で書いて学校に出したのが、処女作(笑)。

伊波:そのときは、先生などから何か反応はあったんですか?

天祢:先生からは、今でも覚えてますけど、「内容はともかく、長い文章書けるのすごいですね」っていう、ほかに評価しようがなかったんだなっていう感想が来ました(笑)。

伊波:その後、メフィスト賞でデビューされますが、それまでに新人賞に応募などはされていたのですか?

天祢:しまくっていましたね。双葉社の賞の最終選考に残って、勘違いして仕事を辞めてからは、一回、ラノベの賞の二次選考に残った以外は、ずっと一次も通らなくて。そのとき、たまたま休刊していた、『メフィスト』が復刊したんですよね。書店で、『メフィスト』の復刊号を見て、「これだ!」って。これのために、俺は落ちていたに違いないと(笑)。それで、メフィスト賞に送ったら、通ったって感じですね。

伊波:ミステリー以外のジャンルのものを書こうと思ったことは、ないのですか?

天祢:投稿時代にいろいろ送っていて、ミステリーの賞もダメだったから、ラノベの賞にも送ってみたんです。でも、ラノベのラストシーンを書いていても、ぜんぜんテンションが上がらないんですよね。人が書いたものを読むときはあんなに上がるのに(笑)。だから、熱量が伝わらなかったみたいで、ほとんど一次も通らなかったですし。ミステリーは、一次も通らなかったんですけど、ラストの伏線回収してるときに、書いていて、すごくテンションが上がるんですよ。ここで、読者は驚くだろうな、とか。それがあったから、ミステリーが一番好きだなって思ってメフィスト賞にミステリーを送って、デビューも出来たから、やっぱりミステリーいいなっていう。

天祢さんが小説を書くときに大切にしていること

伊波:小説を書かれるときに大切にされていることは、何ですか?

天祢:最近の傾向としては、自分が納得するまで直すということかな。それまでは、多少矛盾や無理があっても「これくらいはいいかな」と妥協する気持ちが心のどこかにあった気がします。そうして書いた小説って、やっぱり売れなかったし、評価もされなかったし、読書メーターでもボロボロに書かれていて(苦笑)。2017年に出した、『希望が死んだ夜に』は、本当にすべて自分が納得できるまで書き直したんです。編集さんからの指摘も一つ一つ吟味して、場合によっては議論したりして。そうしたら評価をいただいたので。

伊波:『希望が死んだ夜に』では、社会的なテーマを扱って、話題になりましたね。

天祢:『希望が死んだ夜に』に関しては、知人が経済について研究していて、子どもの貧困って大変なことになっているよと教えてもらって、それに興味を持って調べたことがきっかけです。その前にも、政治とか若者の貧困を扱った小説は書いたんですけど、コメディ色が強すぎたのか、自分の期待していたほどは売れなかった。コメディが好きな人からも社会派が好きな人からも、どっちからも読んでもらえないっていう。『希望が死んだ夜に』は、本当に社会派に行こうっていうシリアス一辺倒で書きました。

今後について

伊波:今後は、どういう作品を書いていきたいですか?

天祢:今は、シリアス路線の作品のほうが評価が高くて、セールスもいいんですよ。それで、シリアス路線の作品の依頼をずっと立て続けにいただいていて、大変ありがたいんですけど、もっとラブコメやりたいなというのがありますね。主人公が巫女さんといちゃいちゃする(笑)『境内ではお静かに』シリーズも読んでくれた人の評判はいいし、なにより自分がラブコメ好きなので。シリアス路線をやりつつ、両方やっていければいいなあと思っています。

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