ラノベの主人公との意外な共通性と本質を見ることの大切さ

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相良:

次の本行きますか。いやあ、ちゃんとエピソードをまとめてくれるあたりさすがオーカーン選手です。話の構成が、原稿にしやすいです。浮かぶんですよ、ぜんぶ文字も。雑談してるようにみえるけど全部文字になってる。ここ見出しになるなとか。

オーカーン:

うむうむ。ここまで古い本ばかり言ってきたが、ここで最新の本を紹介しよう。最近アニメにもなった『髭を剃る。そして女子高生を拾う。』というライトノベルだ。これも余の生き方にだいぶかかっているな。

『ひげを剃る。そして女子高生を拾う。(1)』しめさば(角川スニーカー文庫)

ここで一つ、余からインタビュアーに質問しよう。『髭を剃る。そして女子高生を拾う。』このタイトルを聞いて何を思う?

中村:

オーカーン選手と真逆だなと思いました。

オーカーン:

うむ……。もう一人のインタビュアーは?

相良:

パパ活の話ですか? 援助交際?

オーカーン:

まあそうじゃろうな。貴様ら凡人というか、貴様らの人生経験のなさがよくわかったよ。これはそんな本じゃない。この作品がアニメになったときに、一部の界隈から援助交際だとか、家出少女をやましい気持ちで家に泊めたんだろみたいなことで話題になったよ。

が、読んでみればまったく違う作品なことがわかる。確かに最初は家出をした娘をかくまってやるんだが、いやらしいことは一切しない。むしろ女子高生のほうが、家出に至った経緯やタダで泊めてもらうことに負い目を感じ、自分の身体を捧げようとしてくるが、それをずっと断っていた。

この作品で感心したところは、主人公が自分を貫き通す生き様だ。若い女に言い寄られた、でもそれを常に拒否し続けた。なぜか。それが大人の姿だからだ。未成年の女性に、今まで会ってきた汚い大人たちが常識だと思ってほしくない、真っ当に育ってほしいという思いがあったからだ。だから何があってもいやらしいことはしないという、男としての一貫した姿勢。別に強くもない、格好よくもない、成功もしてない、金も稼いでない、だがこの男の「自分を貫き欲に負けない姿」に感心したよ。

この作品は、このタイトルによって、さまざまな風評被害を受けた。だが女子高生がなぜ家出をしてしまったのか。根本の問題は日本中・世界中にもあるわけだが、それを解決しようとするのではなく、タイトルだけで「発売するな」というのは、なんの解決にもならん。

この作者や製作委員会は、ラノベが発売されたときからこの問題を言われていたが、アニメ化までした。アンチにいろいろ文句を言われても突き通すこの姿も、「自分を貫き通す」という余の姿勢と共通するとこであるな。

相良:

僕は予備知識なしで、オーカーン選手がされた質問に対して100点の答えを出してたわけですね(笑)。援助交際とかパパ活とか。

オーカーン:

うむ。そうじゃ。

相良:

やはりそういう声が多かったんですね。

オーカーン:

うむ、読まずに批判する。タイトルだけじゃ何もわからんのだ。読まなきゃわからん。

中村:

僕はそんなことは一ミリも考えず、『髭を剃る』っていうタイトルだったので、髭を剃らないオーカーン様と、全く逆だ、って申し上げたんですよ。

オーカーン:

貴様はまた変わった感性をしておるな。大方注目されるのは『女子高生を拾う』の方だと思うんだが、この『髭を剃る』ってのもちょっとした意味がある。女子高生を拾い、共に生活をすることにより、髭を剃って、自分も社会人としてしっかり生きるようになる。新しい「ギブアンドテイク」の形を意味しているわけだ。この作品を読めば本当の気持ちのつながり、新しいギブアンドテイクの形も見てとれる。本当に読んだほうがいい。読んでタイトルの意味を紐解いた方がいい。社会問題にも触れてるし、人との触れ合い方も書いてある。

相良:

先にラノベを読んでアニメを見たほうがいいんですかね?

オーカーン:

それは好き好きでいい。本が苦手なやつもおるだろうし、通勤時間が長いやつもおるだろうからな。そのへんは愚民どもに任せる。ちなみに余はアニメを見てからライトノベルを読んだが、かなり読みやすかった。

相良:

基本的にオーカーン選手はどういう時に本を読まれますか?巡業の時とかですか?

オーカーン:

そうじゃなあ。プロレスというのは日本各地、北海道から沖縄まで行くからな。移動中に読むのが一番多いな。

相良:

タブレットとかで電子派ですか?それとも紙の本ですか?

オーカーン:

紙派じゃな、余は。何故なら、ショップで買うと購入特典でクリアファイルだ、ポストカードだ、缶バッジだ、と、いろいろ特典が付くるんじゃ。余は支配者じゃぞ。こういった特典も支配するんだよ。抜かりはない。

中村:

さすがですね。

相良:

ありがとうございます。ピックアップしていただいた本は以上ですか?

オーカーン:

あと、『カイジ 逆転の心理学』と、『100円のコーラを1000円で売る方法』というのもある。

『カイジ逆転の心理学――困難に打ち勝つ・人生を切り開くテクニック』内藤誼人(カンゼン)
『100円のコーラを1000円で売る方法』永井孝尚(KADOKAWA/中経出版)

相良:

『100円のコーラを1000円で売る方法』はブシロードの木谷会長がお好きな本じゃなかったでしたっけ?

オーカーン:

そうだったのか。知らなかったな。まあ木谷にもらったような気がしないでもない。余と木谷の仲だから。やつから直接もらったような気がしないでもないが。。記憶を喪失してるからな。

相良:

その二つについても話を聞かせてください。

オーカーン:

まあ『金持ち父さん貧乏父さん』は、考え方や概念的な要素が多いが、この『100円のコーラを1000円で売る方法』は、具体的な商売のやり方が書いてある。余はプロレスだけで終わるつもりはないからな。この本は、人に雇われるんじゃなく、自分がトップに立ちたいと思うやつは読んだほうがいい本だ。

『カイジ 逆転の心理学』は、これがなかなか面白い。やっぱり人間というのは、心があるからこそ対立したり、仕事をごまかしたり、さぼったりするわけだ。人間誰しも客観的な考えだけで行動するわけでは無い。だから人の心も理解する。この心理学というものを学び、それを応用すれば、誰しも成功、そして強い心を得ることができる。自分の心理をコントロールできるわけだからな。

この『カイジ 逆転の心理学』というのは、心理学というのを本当にわかりやすく、そして実践的なことを書いてある。これを読んで自分の心理、マインドコントロールができるようになったな。

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相良:

これはご自身の心理のコントロールだけじゃなくて、オーカーン選手が試合の前、試合の後のコメントで相手をうまく追い詰める戦略にも役に立っているんですか?

オーカーン:

ああ、かなり役に立っている。
コメントというのは2つ方法があるんだよ。文字で伝える方法と、音声で伝える方法だ。

相手へのコメントでも映像とインタビュー記事では受ける印象が違かろう。相手の心理を考え、よりうまく追い詰めるように使い分けている。

中村:

この本はカイジの作者の方が書かれてるんですか?

オーカーン:

いや、違う。心理学者の内藤というものが書いておる。カイジの漫画であった場面を心理学的に解明しているのだ。だからわかりやすい。だから実践的。

相良:

とても参考になりました。オーカーン選手の大活躍の秘密の一端が少しだけ見えたような気がします。本の話題は以上といった感じですね。

オーカーン:

そうじゃな。早いがまとめというか、本に対して言いたいことを言わせてもらおう。漫画だから、ラノベだからと馬鹿にしても、自分の成長には何もつながらん。読んでそれをどう生かすかは自分次第だ。馬鹿にするのもいい。貴様が貧乏父さんになりたければな。じゃが金持ちになりたいんだったら、興味のあるものでいい、馬鹿にせず読んでみることじゃな。

そしてプロレスラーになりたいやつ。身体を鍛えるだけじゃない。プロレスラーとして余みたいに一流になりたければ、本を読んで頭も鍛えろ。

これはアマチュアでチャンピオンになる前からずっと言われていたことだ。「馬鹿でも運動はできる、でもチャンピオンは頭が良くなければなれない」と。本を読め。

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中村:

素晴らしいメッセージです。本を扱う者として勇気もいただきました。僕、オーカーン選手に本を書いてほしいって思いました。

オーカーン:

うむ、よかろう。ただ大金はいただくけどな(笑)。

相良:

最後にプロレスへの意気込みとかもよろしいですか。

オーカーン:

うむ。

今はG1 CLIMAXが開催されておる。まずはこのG1を優勝する。そしてIWGP世界ヘビー級王者になる。それは当然のことだ。しかし、余はそんなものでは満足しない。新日本プロレスだけじゃなく世界に名をとどろかせ、そして世間一般にも名がとどろく支配者になってやる。


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略歴 グレート-O-カーン

身長188cm/体重110kg
新日本プロレスの支配を目論む異色のヘビー級戦士。
レスリングをはじめサンボ、柔術、パンクラチオンなど様々な大会で優勝経験のある格闘技のスペシャリスト。
イギリスにおいて“ドミネーター”グレート-O-カーンとして活動を開始。MEMヘビー級王座、SWEタッグ王座、RPWブリティッシュタッグ王座に輝くなど連戦連勝。無敗のまま英国を席巻した。
2020年10.16両国国技館大会に突如乱入し、帰国を表明。新ユニット「UNITED EMPIRE」を結成し「侵略開始」を宣言した。

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