ミステリー&エンタテインメントブックガイド『このミステリーがすごい!』を発⾏する宝島社が、新時代の新しいミステリー&エンタテインメント作家・作品の発掘・育成を目的に、2002年に創設した文芸新⼈賞「『このミステリーがすごい!』大賞」。第153回直⽊賞を受賞した東⼭彰良⽒や、累計1000万部突破の『チーム・バチスタの栄光』シリーズの海堂尊⽒などの作家を輩出し、『警視庁捜査二課・郷間彩香特命指揮官』(著・梶永正史)、『⼀千兆円の⾝代⾦』(著・八⽊圭⼀)、『がん消滅の罠 完全寛解の謎』(著・岩⽊⼀麻)など、映像化作品も多数世に送り出しています。
昨年、第19回を数えたその「『このミステリーがすごい!』大賞」を受賞し、今年1月に『元彼の遺言状』でデビューした新川帆立さんの最新作『倒産続きの彼女』が10月6日に発売されます。本書は『元彼の遺言状』の待望の続編で、同日には『元彼の遺言状』の文庫版も同時刊行。デビューからわずか9カ月でシリーズ累計48万部を突破します。

デビュー作ながら全国の書店で売上1位を獲得し、2021年上半期ベストセラー5位(単行本フィクション部門/日販調べ)と異例の売れ行きとなった『元カレの遺言状』。著者の新川さんの「29歳で作家デビュー、東大卒・元プロ雀士・元弁護士」という異色の経歴も話題となり、テレビ番組で密着取材が組まれるなど、瞬く間に最も注目を集める新人作家のひとりとなりました。
そんな新川さんの第2作『倒産続きの彼女』は、女性弁護士・美馬玉子が前作主人公の先輩弁護士・剣持麗子とタッグを組み、謎の連続殺「法人」事件に挑むリーガル・ミステリーです。全国の書店員様からも「新ヒロイン美馬玉子にどっぷり肩入れしてしまった」「真逆のタイプの弁護士コンビ、美馬玉子と剣持麗子の研ぎ澄まされた推理劇に目が離せない」など、新川さんの持ち味であるキャラクター造形を評価する声が集まっています。

【著者コメント】

前作では剣持麗子を愛してくださり、本当にありがとうございます。皆様から頂いた声がとても嬉しく、宝物のように抱えながら続編を書きました。
本作ではニューヒロインが登場します。まさか主人公が変わるとは誰も予想していなかったでしょう。でも、私の中には紹介したい女の子がまだまだいるのです。読者の予想を裏切り、期待を超えていきたいです。強く優しいヒロイン達との冒険をお届けします!

[強く優しいヒロインを描きたい――『倒産続きの彼女』に込められた思い]

★新ヒロイン・玉子の誕生背景と『醜いアヒルの子の定理』
『元彼の遺言状』を刊行後、有難いことに「続編を読みたい」というお声を多く頂き、お話を考え始めました。新ヒロインの人物造形を考えている際に「もっと人に頼る感じの子を出したら」という意見を複数の方から頂きました。エンタメの手法としては正しい意見だと思いつつも、内心引っかかりを覚えました。それがきっかけで、むしろ私は「女性がひとりで生きていってもいい」ということを伝えたいのだなと気づき、今回のお話の軸にしました。強く優しいヒロインを描きたいというのは前作から共通しています。前作では「女性弁護士」という属性だけを見て、著者と主人公を同一視するレビューなども拝読しました。当然ながら女性弁護士といっても色々な人がいます。前作と異なるタイプの女性弁護士を描くことで、一定の属性でテンプレート的に人を見る見方にNOを突きつけたい思いもありました。また、『醜いアヒルの子の定理』というものを作中で紹介しています。テーマと呼べるほどのものではありませんが、劣等感が強い玉子の思考を解きほぐす一要素です。多様性が叫ばれる時代に、そもそも多様性とは何かを考えさせる定理なので、個人的にも面白いと思っています。

★結婚や家庭を理由に自分のキャリアに限界を設定するのはもったいない
私も婚活をしたことがあるので焦る玉子の気持ちは分かります。学歴や年収が高いことが理由で結婚相談所への入会を断られた経験もあり、キャリア女性ならではの婚活の難しさも感じました。他方で、結婚や家庭を理由に自分のキャリアに限界を設定するのはもったいないし、本当はもっとうまい折り合いのつけ方があるのではないかとも思います。同じような悩みを抱える方がいるのではないかと思って、玉子の悩みについて丁寧に描きました。

★デビュー後の悩みとアメリカで感じた海外の市場規模の大きさ
デビューするまでは小説を書くのがとにかく楽しかったのですが、デビュー後は、書きたいものと書けるもののギャップに苦しみました。より面白い小説を書くためにどうすればいいか、常に考えています。アメリカに移ってからは海外の市場規模の大きさを痛感し、「日本語を使って日本国内向けの小説を書く」というのが、いかにニッチな行為かを再認識しています。日本の漫画はかなり人気ですが、小説はそうでもありません。どうにかならないものかと考えています。

『倒産続きの彼女』(新川帆立) 宝島社
 発売:2021年10月06日 価格:1,540円(税込)

山田川村・津々井法律事務所に勤める美馬玉子。地方出身で、懸命な努力をして弁護士になった玉子は、容姿端麗、首都圏出身で恵まれた家庭環境で育った一年先輩の剣持麗子に苦手意識を持ちながらも、ボス弁護士・津々井の差配で麗子とコンビを組むことになってしまう。クライアントである倒産の危機に瀕する老舗のアパレル会社・ゴーラム商会を救うため、二人は会社を倒産に導く女と噂される経理課の近藤まりあの身辺調査を行うことになった。ブランド品に身を包み、身の丈に合わない生活をSNSに投稿している近藤は、会社の金を横領しているのではないか? しかしその手口とは? ところが調査を進めるなか、ゴーラム商会の「首切り部屋」と呼ばれる小部屋で死体が発見され……。

『元彼の遺言状』(新川帆立) 宝島社
 発売:2021年10月06日 価格:750円(税込)

「僕の全財産は、僕を殺した犯人に譲る」奇妙な遺言状を残して、大手製薬会社の御曹司・森川栄治が亡くなった。学生時代に彼と三ヶ月だけ交際していた弁護士の剣持麗子は、犯人候補に名乗り出た栄治の友人の代理人として、森川家の主催する「犯人選考会」に参加することとなった。数百億円ともいわれる遺産の分け前を勝ち取るべく、麗子は自らの依頼人を犯人に仕立て上げようと奔走する。他方で、彼女は元カノの一人としても軽井沢の屋敷を譲り受けることになっていた。ところが、軽井沢を訪れて手続きを行ったその晩、くだんの遺言状が保管されていた金庫が盗まれ、さらには栄治の顧問弁護士が何者かによって殺害されてしまう……。

【著者プロフィール】

1991年生まれ。アメリカ合衆国テキサス州ダラス出身、宮崎県宮崎市育ち。東京大学法学部卒業後、弁護士として勤務。高校時代は囲碁部に所属し全国高校囲碁選手権大会にも出場。囲碁部で麻雀にも興味を覚え、司法修習中に最高位戦日本プロ麻雀協会のプロテストに合格しプロ雀士としても活動経験あり。作家を志したきっかけは16歳のころ夏目漱石の『吾輩は猫である』に感銘を受けたこと。作家になるために「粘り強く長期戦に対応できるための食い扶持が必要」と考え弁護士になる。「第19回『このミステリーがすごい!』大賞」で大賞を受賞し、『元彼の遺言状』で2021年デビュー。現在は作家として活動。アメリカ在住。

※本稿は、下記のプレスリリースを参考に作成いたしました。
【『このミス』大賞・受賞作、『元彼の遺言状』の続編!】 『倒産続きの彼女』10/6発売|株式会社宝島社のプレスリリース

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