今回ご紹介するのは『マンガ脚本概論』。『神童』、『トトの世界』などの代表作で知られるマンガ家、さそうあきらさんによるマンガ脚本の書き方についての本です。

 さそうさんは、2006年~2021年までの間、京都精華大学マンガ学部で、ストーリー部門の教鞭とっておられ、その15年に及ぶマンガ創作術のノウハウを本作に詰め込んだとのこと。15年分のノウハウと言うだけあって、分厚いです。

 そして、本書自体がマンガで描かれていて、とてもよみやくすく、わかりやすくなっています。

体系的でわかりやすいマンガ脚本論

 目次をご紹介すると、次の通り。

  • アイデアを発想する
  • 「はじめてのおつかい」というストーリーモデル
  • 問題が提起される瞬間とは
  • 問題の大きさとストーリーの尺
  • 身につまされる問題とは
  • ふたつの起承転結
  • ストーリーに原型はあるのか?
  • 「手錠のふたり」というストーリーモデル
  • 一語で表現されるキャラクター
  • キャラクターの魂を吹き込む
  • 五感に訴える表現
  • 見てきたような嘘をつけ
  • 「本当らしさ」とは何か
  • テーマってなんだろう
  • 「引き出し」ってなんだろう

 創作に関わる人が読めば、グイグイと興味を惹かれるリストではないでしょうか。

 本作では、具体的なノウハウを紹介するにあたっての、参考文献やメソッドがたくさん紹介されます。

 たとえば、「アイデアを発想する」の章では、ジェームス・W・ヤングの名著『アイデアのつくり方』であったり、「オズボーンのチェックリスト」の物語への応用。その他にも、アイデアを発想するための様々なフレームワークが、紹介されています(マンダラートやブレインストーミングなど)。

 このことからも、実際に学校で講義をされていたという、体系的なマンガ脚本の書き方であることがわかります。紹介されている本をいくつか列記します。

 有益な情報が満載。そして、実作者としての経験談がちりばめられています。メソッドを応用したマンガの実例として、さそうさんが描かれたマンガも多数収録されていて、これもお得です。

 そして、なにより、「何か作りたい!!」と、気分を高揚させてくれる一冊。気分を高めるためにも、手元に置いておきましょう。

 

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