『たとえば、葡萄』(大島真寿美) 小学館
 発売:2022年09月16日 価格:1,980円(税込)

まったく先の見えない状態で会社を辞めてしまった28歳の美月は、母の友人であり自身もよく知る市子の家に転がり込む。昔なじみの個性の強い大人たちに囲まれ、一緒に過ごすうち、真っ暗闇の絶望の中にいた美月は徐々に上を向く。自分と格闘する美月を周囲の大人達は優しく見守る。さりげなく、自然に、寄り添うように。誰の心にも存在する将来への恐れや不安、葛藤……。2006年の『虹色天気雨』、2010年の『ビターシュガー』に連なる、作家生活30周年記念作品。

【著者プロフィール】

1962年、愛知県生まれ。1985年より劇団「垂直分布」主宰し、脚本・演出を担当。劇団を解散した1992年に「春の手品師」で「第74回文學界新人賞」を受賞し、デビュー。同年には「第15回すばる文学賞」最終候補作を表題とした『宙の家』が刊行される。2019年に『渦 妹背山婦女庭訓 魂結び』で「第161回直木賞」を受賞。同作は「第7回高校生直木賞」にも選ばれている。主な著書に『ふじこさん』(「春の手品師」収録)、『戦友の恋』『ピエタ』『それでも彼女は歩きつづける』『あなたの本当の人生は』『空に牡丹』『ツタよ、ツタ』『モモコとうさぎ』、近著に『結 妹背山婦女庭訓 波模様』などがある。

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