4月6日に発表される本屋大賞。今年はどの作品が受賞されるのでしょうか。候補作をまとめてご紹介し、ナニヨモ編集部も勝手に受賞作を予想してみます!

『赤と青とエスキース』青山美智子

 2021年本屋大賞2位『お探し物は図書室まで』の著者、新境地にして勝負作! メルボルンの若手画家が描いた一枚の「絵画(エスキース)」。日本へ渡って三十数年、その絵画は「ふたり」の間に奇跡を紡いでいく――。二度読み必至! 仕掛けに満ちた傑作連作短篇。

『硝子の塔の殺人』知念実希人

 雪深き森で、燦然と輝く、硝子の塔。地上11階、地下1階、唯一無二の美しく巨大な尖塔。ミステリを愛する大富豪の呼びかけで、刑事、霊能力者、小説家、料理人など、一癖も二癖もあるゲストたちが招かれる。この館で次々と惨劇が起こる。館の主人が毒殺され、ダイニングでは火事が起き血塗れの遺体が。著者初の本格ミステリ長編!

『黒牢城』米澤穂信

 第166回直木賞受賞作。ナニヨモでもピックアップさせていただきました。

 本能寺の変より四年前、天正六年の冬。織田信長に叛旗を翻して有岡城に立て籠った荒木村重は、城内で起きる難事件に翻弄される。動揺する人心を落ち着かせるため、村重は、土牢の囚人にして織田方の智将・黒田官兵衛に謎を解くよう求めた。事件の裏には何が潜むのか。戦と推理の果てに村重は、官兵衛は何を企む。デビュー20周年の集大成。『満願』『王とサーカス』の著者が辿り着いた、ミステリの精髄と歴史小説の王道。

『残月記』小田雅久仁

 近未来の日本、悪名高き独裁政治下。世を震撼させている感染症「月昂」に冒された男の宿命と、その傍らでひっそりと生きる女との一途な愛を描ききった表題作ほか、二作収録。「月」をモチーフに、著者の底知れぬ想像力が構築した異世界。足を踏み入れたら最後、イメージの渦に吞み込まれ、もう現実には戻れない――。最も新刊が待たれた作家、飛躍の一作!

『スモールワールズ』一穂ミチ

 ナニヨモで『パラソルでパラシュート』でインタビューさせていただいた一穂ミチさんの短編小説集。直木賞の候補になったことでも有名です。

 夫婦円満を装う主婦と、家庭に恵まれない少年。「秘密」を抱えて出戻ってきた姉とふたたび暮らす高校生の弟。初孫の誕生に喜ぶ祖母と娘家族。人知れず手紙を交わしつづける男と女。向き合うことができなかった父と子。大切なことを言えないまま別れてしまった先輩と後輩。誰かの悲しみに寄り添いながら、愛おしい喜怒哀楽を描き尽くす連作集。

『正欲』朝井リョウ

 生き延びるために、手を組みませんか。いびつで孤独な魂が、奇跡のように巡り遭う――。あってはならない感情なんて、この世にない。それはつまり、いてはいけない人間なんて、この世にいないということだ――共感を呼ぶ傑作か? 目を背けたくなる問題作か? 絶望から始まる痛快。あなたの想像力の外側を行く、作家生活10周年記念、気迫の書下ろし長篇小説。

『同志少女よ、敵を撃て』逢坂冬馬

 第11回アガサ・クリスティー賞大賞を、史上初の全選考委員が5点満点をつけて受賞した話題作。直木賞候補にもなりました。

 1942年、独ソ戦のさなか、モスクワ近郊の村に住む狩りの名手セラフィマの暮らしは、ドイツ軍の襲撃により突如奪われる。母を殺され、復讐を誓った彼女は、女性狙撃小隊の一員となりスターリングラードの前線へ──。

『星を掬う』町田そのこ

『52ヘルツのクジラたち』で、2021年の本屋大賞を受賞された町田そのこさん。今年もノミネート。受賞後第1作目は、すれ違う母と娘の物語。

 本作はナニヨモでインタビューさせていただきました。

 小学1年の時の夏休み、母と二人で旅をした。その後、私は、母に捨てられた――。ラジオ番組の賞金ほしさに、ある夏の思い出を投稿した千鶴。それを聞いて連絡してきたのは、自分を捨てた母の「娘」だと名乗る恵真だった。この後、母・聖子と再会し同居することになった千鶴だが、記憶と全く違う母の姿を見ることになって――。

『夜が明ける』西加奈子

 ナニヨモでインタビューさせていただいています!

 直木賞作家が5年間苦しみ抜いて到達した祈り。再生と救済の長篇小説。思春期から33歳になるまでの男同士の友情と成長、そして変わりゆく日々を生きる奇跡。まだ光は見えない。それでも僕たちは、夜明けを求めて歩き出す。どれだけ傷ついても、夜が深くても、必ず明日はやってくる。

『六人の嘘つきな大学生』浅倉秋成

 成長著しいIT企業「スピラリンクス」が初めて行う新卒採用。最終選考に残った六人の就活生に与えられた課題は、一カ月後までにチームを作り上げ、ディスカッションをするというものだった。全員で内定を得るため、波多野祥吾は五人の学生と交流を深めていくが、本番直前に課題の変更が通達される。それは、「六人の中から一人の内定者を決める」こと。仲間だったはずの六人は、ひとつの席を奪い合うライバルになった。

『教室が、ひとりになるまで』でミステリ界の話題をさらった浅倉秋成が仕掛ける、究極の心理戦。

ナニヨモ編集部の予想!

 まず、候補10作品のうち3作品の作者の方に、ナニヨモがインタビューを実施していて「ナニヨモやるじゃん」と思いました。

 受賞作の予想ですが、何店かの書店員さんと軽くお話する機会があったため、「今年はどの作品が受賞すると思いますか?」と聞いてみたところ、みなさん「むずかしくて、わかりませんね……」とのことでした。

 ということで、大雑把に、独自の視点で予想させていただきます。まず、世相を反映しているという点から見ると、深刻な貧困の問題を描いた『夜が明ける』(西加奈子さん)、多様性という言葉の違和感や性について描いた『正欲』(朝井リョウさん)、戦争を描いた『同志少女よ、敵を撃て』(逢坂冬馬さん)が挙げられると思います。

 今回はこの点から選ぶとして、個人的には『夜が明ける』が大変刺さるものがありましたが、読んでいてとても辛い話で、救いはあるのですが、これまでの本屋大賞の受賞作の傾向を見ると、ちょっと違う感じがしたので、『正欲』(こちらも辛いのですが)が第一位で受賞すると予想したいと思います!

 発表は、4月6日です。

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