東京に住み、非正規で新聞社の校閲の仕事をしている主人公(ひの子)は、福岡・筑豊の炭鉱町出身で、もうすぐ40歳。ひの子の弟と、以前に結婚騒動があった沙穂としばらくぶりに再会したことで、影響を受け、1年以上前に別れていた恋人・春生と再び付き合うことに。

 出会いと別れ、他者とのつながり。現代女性が遭遇するさまざまな社会の実相を、かつて炭鉱で労働を担った女性たちに心を寄せつつ描いた中編小説です。

 刊行にあたり、著者の櫻木みわさんにお話をお聞きしました。

すべてを燃やし尽くすみたいに書いた小説

――『コークスが燃えている』について、これから読む方へ、どのような小説かお教えいただけますでしょうか。

 インタビューをしてくださって、ありがとうございます。うれしく思い、このご質問にも明快に答えたいと思うのに、いまは自分のなかから何も言葉が出てこない。それくらい、すべてを燃やし尽くすみたいに書いた小説です。

――本作を描こうとされたきっかけを教えていただけますでしょうか。

 作品はフィクションですが、核となる出来事は、じっさいに自分の身に起きたことをもとにしています。その経験で知ったこと、感じたこと、考えたことを書きつけておきたい、書きつけておかなくてはいけない、という気持ちで書き始めました。その後『文藝』(河出書房新社)でシスターフッド特集を読み、自分にとっての「シスターフッド」を書きあらわしたい(それはとても泥臭く、自分の身近にあったものです)という思いが湧きおこり、先の経験と合致してこの小説ができてゆきました。

燃えるこころを持ったひとに読んでほしい

――ご執筆にあたって、苦労されたことや、当初の構想から変わった部分など、執筆時のエピソードをお聞かせください。

 原稿を書き終えたあとに、新型コロナウイルスの流行が始まりました。この小説において、コロナ禍が描かれているのといないのでは大きな違いがあると考え、編集者のかたにお願いして、設定をコロナ禍での状況に変え、一から書き直しをさせてもらいました。

――どのような方にオススメの作品でしょうか? また、本作の読みどころも教えてください。

 作中に、ドラゴンフルーツの花言葉である「燃えるこころ」という言葉が出てきます。私はこの小説を、燃えるこころを持ったひとに読んでほしいです。この小説に書かれているのは、限定的な個人の、限定的な状況です。けれど、性別や年齢、立場を超えて、この小説で自分が書きたかったものの響きを聞きとってくれる読者がきっといると信じています。

小説のなかでほんとうのことを書きたい

――小説を書くうえで、いちばん大切にされていることをお教えください。

 自分がこころから書きたいと思うものを、できるだけ正確な言葉で書くことです(これは書き言葉全般にたいして気をつけていることです)。

 小説はフィクションですが、だからこそほんとうのことを書ける、ということがあると思います。小説のなかでほんとうのことを書きたい、ほんとうのことをいいたい、と思って書いています。

――最後に読者に向けて、メッセージをお願いします。

 私は無名の書き手なので、自分の作品をみつけて読んでくれたひとはすごいと思うし、とても感謝しています。よい作品が書けるよう、どんどんがんばっていく所存です。楽しみにしていただけたらうれしいです!


櫻木みわさん最新作『コークスが燃えている』

『コークスが燃えている』(櫻木みわ) 集英社
 発売:2022年06月03日 価格:1,650円(税込)

著者プロフィール

櫻木みわ(さくらき みわ

 1978年福岡県生まれ。タイ、東ティモール、フランス滞在などを経て、2018年に作品集『うつくしい繭』で単行本デビュー。

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