突如出現した新型コロナウイルス(COVID-19)に振り回された2020年を経て、2021年は年の初めから新型コロナを常に意識した生活を送ることになった1年でした。
1月7日に東京ほか首都圏に出された2度目の緊急事態宣言は、まん延防止等重点措置期間を挟んで3度目の発令、その状況は秋まで続きました。
それでも昨年の経験から過度のパニックに陥ることもなく、賛否を集めながらも宣言下での2020東京オリンピック・パラリンピックは無事開催され、日常にかけられた制限も徐々に緩和されて、不安を抱えながらでも生活は徐々に落ち着きを取り戻しはじめていったように思います。人々が「ウィズコロナ」の暮らし方を模索した1年だったと言えるでしょう。
出版業界においても、今年は「コロナ禍」という現実を直接的・間接的に取り込み、その中で生きる人々の営みを描いた文芸作品が多数見られるようになり、「ナニヨモ」でも、それらの一部として以下のような作品をご紹介してきました。
新型コロナウイルスの恐怖や医療現場の混迷を描いたものから、止めることのできない日常生活までさまざまな形で描かれた作品たちは、このコロナ禍を、記録だけではなく文章表現として書き留めることで、ウイズコロナ、そして「ポストコロナ」の時代へと文芸をつなげていこうという、強い意志の表れのように感じられます。

■金原ひとみ、真藤順丈、東山彰良、尾崎世界観、瀬戸夏子  

5人の作家が描く、もうひとつのパンデミック『緊急事態下の物語』(新刊情報・6月15日掲載) 

■椎名寅生 

笑いあり涙ありのウィズ・コロナ青春小説『ニューノーマル・サマー』(新刊情報・6月25日掲載) 

■廖亦武  

亡命中国人作家による告発のドキュメンタリー・ノベル『武漢病毒襲来』(新刊情報・8月5日掲載) 

■海堂尊  

混迷を極める日本の2020―2021を描き尽くす、最新コロナウイルス小説!『コロナ狂騒録』(新刊情報9月3日掲載) 

■重松清   

さみしさは消えない。でも、希望は、ある。夜空にちりばめられた、11の小さな星たちの物語『かぞえきれない星の、その次の星』(新刊情報・9月19日掲載) 

■佐藤友哉   

太宰vs終わらないコロナ禍、開幕!!『転生! 太宰治ファイナル コロナで、グッド・バイ』(新刊情報10月14日掲載) 

■長嶋有   

無数のルーティンで、世界は回っている。作家と漫画家夫婦と2歳の娘がおくる、コロナ下のかけがえのない日常『ルーティーンズ』(新刊情報・11月9日掲載) 

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